
岩崎さんは現在、『倉敷薄荷』の商品開発と情報発信を行なっています。
スウェーデンの大学に留学した際、環境保全と経済発展の両立について学びました。
特に重点をおいて勉強した内容は、北欧企業のCSR (企業の社会的責任)。
北欧企業が、環境保護に関わる事業をどのようにビジネスに取り入れているかを調査しました。スウェーデンではSDGsの観点でビジネスを考えるのは当然で、企業は環境保護を考慮した商品開発を行なっていました。
北欧企業の考え方に感銘を受け、環境保全とビジネスを両立させる取り組みに興味を持ちます。日本でも、環境保全につながるビジネスはないかと調べていたときに、倉敷市地域おこし協力隊の事業の1つにあった薄荷(はっか)栽培に出会いました。
かつて倉敷を含む岡山全域では本格的な薄荷栽培が盛んに行われていました。1925年〜1926年頃がその最盛期とされています。1873年から1941年における日本の薄荷の生産量は、世界1位。岡山県の国内シェアは、北海道に次いで2位だったといいます。
戦後*、国の薄荷栽培奨励に薄荷栽培が再開され、岡山県倉敷市には全国で2ヶ所しかない農林省指定薄荷試験栽培地が設置されます(のちの「岡山県農業試験場倉敷薄荷分場」)。そこでは暖地における和種薄荷の試験栽培を行っていました。
*:大東亜戦争 1941年(昭和16年)12月~1945年(昭和20年)8月
そして生まれた品種の1つが、倉敷薄荷の原料となる『秀美(しゅうび)』。ペパーミント(ミッチャム種)と和種はっかの三美(さんび)を交配して生み出され、他品種と比べて清涼感が高く、甘くて穏やかな香りが特徴なことから今後の産業発展に期待された品種でした。1967年から秀美の試験栽培が始まったものの、高度成長期の工業化の波と社会構造の変化により、翌年には試験場は閉鎖され、日本の薄荷産業の終焉とともに、商品化には至らず消えていきました。
合同会社吉備のくに未来計画。
その前身となる市民活動団体は、農家・不動産・まちづくり等の専門家によって立ち上げられたプロジェクトチームから開始。地域資源開発/循環型/低炭素をキーワードに活動を進め、現在は倉敷を含む岡山全域で盛んに栽培されたはっかを使用した商品開発と情報発信を行なっています。
地域資源の活用を目的とした活動の中で、試験栽培が中止されていた秀美の苗をいただく機会に恵まれ、契約農家さんと栽培方法の研究や自社での商品実験を繰り返します。そして、薄荷生産量の安定と自社の蒸留器設備が整い、「倉敷薄荷」の商標を取得、販売できるようになりました。
「倉敷薄荷の事業をエコビジネスのモデルとして確立したい。
倉敷で薄荷を栽培していたことを多くに人に伝えて、環境について考えるきっかけを生み出したい。アピールするだけの環境保護事業ではなく、環境を良くする活動を利益につなげたい。
価値観を押しつけるだけでは、社会全体の意識を変えられない。
倉敷での薄荷栽培の歴史と復活への取り組みは、面白いし共感できるのでは。私が良いと感じる取り組みや商品を伝えることで、多くの人の環境に対する意識に影響を与えたい。
日本でも環境に配慮した商品でビジネスができるということを示して、消費者が環境負荷の低い商品を購入することが当たり前となる社会にしたいです。」
倉敷薄荷陳列所 Instagram @kurashikihakka_press
倉敷薄荷 公式HP https://kibinokuni.co.jp/
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2021.08.20|倉敷とことこ 高梁川志塾「倉敷薄荷ワークショップ」 〜 手作りアロマミストの香りを楽しむ
児島公民館 令和4年度春の講座 参加者募集 【くらしき市民講座】倉敷薄荷でオリジナルアロマスプレーを作ろう
――地域おこし協力隊のフロンティア「岡山オコシV会議 発表者紹介⑥」
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